Germline mutation(生殖細胞系列遺伝子変異)とSomatic mutation(体細胞遺伝子変異)との違い

オミクス基礎知識

はじめに

医学や生物学の世界では、さまざまな種類の変異が研究されています。その中でも、Germline mutationは特に重要です。その特徴や影響を見てみましょう。また、Somatic mutationとの違いにも触れてみます。

Germline mutationの影響

哺乳類は、卵子由来の遺伝子と精子由来の遺伝子を対として持っています。つまりひとつの遺伝子座に対して、母由来と父由来の2個の遺伝子を持つ事になり、この事を対立遺伝子(アレル)と表現しています。Germline mutation変異は、生殖細胞(卵子や精子)に起こる遺伝子変異です。
もし、両親のどちらかが片アリルにGermline mutationを持っていた場合は、子には50%の確率でそのmutationが引き継がれ、全ての細胞にその遺伝子変異が存在する事になります。そして、さらに次の世代へ、50%の確率で引き継がれる可能性が出てきます。このようにGermline mutationは、遺伝性疾患・家族性腫瘍を理解するうえで重要となります。若年性発症で家族歴を有するがん患者の場合には、Germline mutatoinを有している可能性が高く、本人や親族の遺伝子検査が必要となる事があります。

Somatic mutation の影響

一方、Somatic mutationは、体細胞に発生した遺伝子変異で、遺伝子変異を起こした一部の細胞にのみその影響が現れます。原因として、紫外線や化学物質によるダメージ、生活習慣に起因するストレス、加齢に伴うDNA複製のエラー等が知られています。原則、子孫に引き継がれる事はありません。

まとめ

Germline mutationとSomatic mutationは、それぞれ生殖細胞と体細胞に生じる異なるタイプの変異です。Germline mutationは遺伝的な影響を持ち、子孫に変異を遺伝する可能性が高い一方、Somatic mutationは個々の細胞に影響を与えますが、遺伝的な影響はありません。

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