第20回抗加齢医学会総会にて、当社の仲木が日本抗加齢医学会副理事長・近畿大学奈良病院教授・近畿大学アンチエイジングセンター副センター長の山田 秀和先生と共同で研究成果を発表しました。
既報のエピジェネティクス的年齢の算出方法は主に西洋人のデータを参考にされています。弊社と山田秀和先生の研究チームにおいては、その算出方法による予測性能を評価し、日本人の実データに合わせたチューニングを行いました。その結果、血液だけでなく、採取において侵襲性の低い唾液や肌から抽出したDNAからでもエピジェネティクス的年齢を測定できることが明らかになったことを報告しました。
詳細
生体の老化具合は単に時間経過により決まるわけではなく、外界の環境、食事や運動等の環境要因の影響を受けます。誕生からの時間に基づき定まる「暦年齢」に対し、生体を構成する細胞や組織の機能に応じて定まる年齢を「生物学的年齢」といいます。
近年、ヒトの様々な組織を用いた研究により、DNAメチル化レベルと生物学的年齢には高い相関があることが明らかになってきました。このDNAメチル化レベルにより予測される年齢をエピジェネティクス的年齢と呼び、複数の算出方法が提案されています。これら方法を用いることにより、生体の老化具合の他に、免疫システムの活性、中枢神経の不具合といった様々な生体機能の状態を予測することができます。
一方で、既報のエピジェネティクス的年齢の算出方法は主に西洋人のデータを参考に構築されており、そのまま日本人に適用することは困難でありました。そこで我々は、日本人3名に由来する血液、唾液、肌のサンプルを用い、既報のエピジェネティクス的年齢の算出方法による予測性能を評価し、実データに合わせたチューニングを行いました。解析結果より、血液だけでなく、採取において侵襲性の低い唾液や肌から抽出したDNAからでもエピジェネティクス的年齢を測定できることが明らかになりました。今後はさらにサンプル数を増やし、より精度の高いエピジェネティクス的年齢の予測方法を確立することを目指していきます。
株式会社Rhelixa(レリクサ)について
当社は最先端のゲノム・エピゲノム解析で培ってきた技術を活用して、生物学・医学・薬学領域における基礎研究や製品・ソリューションの開発、またはそれらの受託業務を行っています。次世代シーケンサーにより得られるエピゲノムデータの他、ゲノムやトランスクリプトーム、メタゲノムデータを組み合わせた統合的なデータ解析により、細胞制御の詳細なメカニズムの予測や精度の高いマーカーの探索を行います。また、研究開発のあらゆる場面で必要となるデータの統計解析や図版作成を基礎知識を必要とせず誰もが手元で実現できる環境を提供しています。