『RRBS(Reduced Representation Bisulfite Sequencing)』は、DNAのメチル化状態を解析するための次世代シーケンシング技術の一つです。
DNAメチル化はエピジェネティクスの重要な要素であり、遺伝子発現や細胞分化、がんなどの病態に深く関わっています。
MspI制限酵素を使用してDNAを切断し、メチル化しやすいCpGリッチ領域を濃縮し、CpGアイランドを選択的に解析します。
RRBSは、ゲノム全体のメチル化状態を解析するコスト効率の高い方法として広く利用されています。
データ解析では、メチル化率が有意に変動しているCpGサイト/領域を統計的に算出し、変動メチル化サイトとその近傍遺伝子のリストに加え、ヒートマップの作成、
また変動メチル化領域の近傍遺伝子情報を利用し、有意に濃縮されたGOタームを解析し、GOタームのリスト、棒グラフやGOターム階層図、Bubble plotを作成します。
さらに、RRBSとRNA-seqを統合解析することで、オミクス間の関係を可視化した各種図版を作成します。
その他公共データと組み合わせた統合解析や指定の図版作成などのオーダーメード解析も承っております。
DNAメチル化解析の意義
DNAのメチル化は対象配列のDNA結合因子との親和性を変化させるため、DNAの配列変異と同様に、遺伝子発現制御の変化を引き起こし得ます。このことから、通常の配列解析では見えない遺伝子発現の変化を明らかにする目的で実施されます。また、DNAのメチル化が様々な疾患や健康状態に相関するエピジェネティック・バイオマーカーとして機能することが報告されています。
RRBSの利用用途 (WGBSとの違い)
RRBSの利用用途
コストを抑えて、CpG領域のみのメチル化レベルを解析するのに有効
- コストを抑えながら300-500万のCpG領域のメチル化レベルを定量したい
- CpG領域に焦点を当てて解析したい
WGBSの利用用途
ゲノム全体をターゲットとしてあらゆる領域のメチル化状態を包括的に解析するのに有効
- 全ゲノムでのCpG, CHG, CHH領域のメチル化レベルを解析したい
- 全ゲノムレベルで5-mC(5-メチルシトシン)を解析したい
参考記事
- ・DNAメチル化と遺伝子制御: エピジェネティックな修飾の理解
- ・DNAメチル化と疾患: エピジェネティックスの役割と可能性
- ・環境因子とエピジェネティクス: メチル化パターンへの影響
- ・RRBSによるメチル化制御機構の解明: 方法、利点と課題
- ・RRBSから導かれる新発見: 適用分野と論文紹介